2016212日に、超党派フリースクール等議連・夜間中学等義務教育拡充議連立法チーム(丹羽秀樹座長)のヒアリングにおきまして、不登校・ひきこもりを考える当事者と親の会ネットワークの代表が法案への反対・白紙撤回を発表いたしましたので、ここにご報告させていただきます。


22日、議連立法チームにおきまして、これまで「多様な教育機会確保法案」と呼ばれていた法案の、新たな骨子案である「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律案」(仮称)が提出されました。

骨子案と修正表は下記のリンクからご覧いただけます。


義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律案(仮称)骨子(座長試案)平成28年2月2日 ←クリックしてください

座長試案(平成27915日版)からの修正点 ←クリックしてください


ヒアリングでは、この「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律案」(仮称)のことだけでなく、これまでの法案の内容・検討過程をも含めた反対意見を発表いたしました。


当ネットワークより参考として提出した資料4点(PDF版)は、下記リンクをクリックするとご覧いただけます。


 ・要望書(20160212当事者と親の会ネット)

 ・2・2骨子案の問題点(20160212当事者と親の会ネット)

 ・グラフ資料3点(20160212当事者と親の会ネット)

 ・当事者からのメッセージ(20160212当事者と親の会ネット)

下記に、当日の発表内容(原稿)を掲載いたします。

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  * * * * *


「義務教育の段階における普通教育に相当する
教育の機会の確保等に関する法律案」(仮称)に対する反対意見


夜間中学と分けて、白紙撤回を求めます。

なぜならば、今より状況が悪くなると思われるからです。
 

 2・2骨子案の問題点(20160212当事者と親の会ネット)

 口頭で、問題点3・4・8を抜粋して紹介
 

グラフ資料1ページ目「不登校の子どもの数の推移」「不登校の子どもの割合の推移」をご覧下さい。

 グラフ資料3点(20160212当事者と親の会ネット)

90年代、不登校対策に力を入れる様になってから不登校が激増しています。
また、グラフ資料2ページ目「18歳までの日別自殺者数」をご覧ください。

グラフが飛び出している部分(91日や4月上旬など新学期が始まる時期や5月の連休明けなど)は、不登校の増える時期と一致しています。

いったい何人死んだら、学校は変わるのでしょうか?

いじめが起こるのは、競争、評価、管理、そして出入りが自由でない場所で起きると言えます。


22日、丹羽座長は「安易に学校に行かないことにならないよう、学校教育が原則ということはしっかり盛り込みました」と説明されました。


子どもより学校制度の方が優先されている。

結果、法案は「不登校対策」となっています。


「不登校対策」は不登校を否定する前提のものです。

それを法律など絶対してはならない。危険です。


不登校の苦しみは自己否定の苦しみです。

それは学校・行政・社会の価値観から来ています。


資料から、ある当事者の声を紹介します。

これは11月の新聞記事に対してですが、今回の座長試案にも、同じ感想をお持ちです。


  学校で辛いことがあり行けなくなった。

  学校がだめならフリースクールだねという社会的、組織的圧力がかかる。

  フリースクールも合わないので行けなくなった。

  家にいる。

  学校も駄目、フリースクールも駄目かという目で見られる。

  子供自身がそういうふうに感じて、自分を劣った存在だと感じてしまう。


  今回の法案が、かつて自分のような立場の子どもから、

  生存権すら奪うことになりかねないと、

  強い危機感を抱いています。

    (当事者からのメッセージ(20160212当事者と親の会ネット))


「個別学習計画」が削除され、「本人の意思を尊重」「子どもの権利条約」という言葉が入っても、肝心の「子どもが休むこと」は問題視されたままで、何も変わっていません。


「学校教育が原則」という前提そのものが、子どもを追い詰めているという現実に、どうか、気づいていただきたいのです。


条文の修正がなぜこのように、表面的なものになってしまうのか?

それは5分しか意見を聞かないからではないでしょうか?

本気で市民の考えを知ろうとしたなら、5分で済むはずがありません。

時間がないのなら、そんな状態で法律など作るべきではありません。

これでは子どもたちに対して、失礼ではないでしょうか?


また「学力アップのため、他へ行くのでは?」という意見が出されたとのこと。

なぜそうなるのか?

社会に学力差別があるからです。

まずは立法以前に、不登校は社会全体を含めた大きな問題であることを認識すべきです。

それには充分な時間をかけた国民的な認識が必要となります。

試案もすぐに公開すべきです。

これでは自殺は減りません。


最後に、もう一人の当事者の声を紹介します。


  どうか議員の皆さん、辛い思いをしている不登校の子に良かれと思うのであれば、この法律案を通すのではなく、「何もしない今のままだって何も悪くない!ダメじゃない!」と思える社会を造って下さい。

   引用したコメント全文はこちらから)


求められているのは学習の保障ではなく、安心して「不登校」ができる教育行政の価値観の変革です。

議員の皆さんには今一度、立ち止まる勇気を持っていただきたいと思います。


法案の白紙撤回、市民が意見を充分に述べる機会の保障を求めます。



不登校・ひきこもりを考える当事者と親の会ネットワーク

代表 下村小夜子


以上